Development of Exposure Reduction Technologies by Digitalization of Environment and Radioactive Source Distribution (Estimation Technology for Radioactive Source Distributions)
廃炉作業環境の改善に向けた技術開発
(被ばく低減のための放射線源分布の推定技術)
(令和3年6月~令和5年3月)
研究背景・目的
◇今後、燃料デブリの取り出し作業の本格化により、原子炉建屋(R/B)内での作業増加が予想される。
◇しかしながら、事故による損傷状態が不明な場所が残り、未だに線量率が⾼いR/B内において作業を安全、効率的に⾏うためには、可能な限り作業員の被ばく低減を図るための環境改善が必要である。
◇環境改善の重要な技術要素は、作業環境と線量・線源分布の把握、環境変化に対応した被ばく低減計画の策定であり、これに資する技術開発が求められている。
主な開発内容
◇R/B内の構造物の状態(位置、形状、物性等)、空間線量率等の現場情報から、構造物の表面での線源分布を推定する「線源逆推定システム」のプロトタイプを開発する。
◇推定された高強度線源の低減対策(除染、除去、移動、遮蔽)を実施した際の線量率分布を評価する機能を開発し、上記システムに組み込む。
◇推定した線源・線量率分布等を可視化する機能を開発する。
連携部署
◇福島研究開発部門 福島研究開発拠点 廃炉環境国際共同研究センター
◇システム計算科学センター
開発成果
◇共同事業実施者の東京電力ホールディングスと連携を図るとともに、外部有識者からのコメント等を踏まえ、目標である「線源・線量率推定システム」のプロトタイプを開発し、実機(JAEAのJMTR炉)を用いた検証試験により、基本的な動作確認を実施するとともに、現場の線量率を再構築できること及び線量率低減シミュレーションによる効果を確認した。
今後の予定
◇プロトタイプシステムの高度化(現場適用性、推定精度及び操作性の向上)を図りつつ、1F環境データを充実してR/B全体へ適用することで、1Fにおける本システムを活用した被ばく低減のための作業計画の策定に貢献する。
◇令和4年度までに開発した環境・線源分布のプロトタイプシステムについて、現場適用性向上のための高機能化開発を実施する。(「経済産業省の令和5年度開始廃炉・汚染⽔・処理水対策事業費補助⾦(原⼦炉建屋内の環境改善のための技術の開発(被ばく低減のための環境・線源分布のデジタル化技術の高機能化開発))に係る補助事業」として実施中)
その他
本内容は、「経済産業省の令和3年度開始廃炉・汚染⽔対策事業費補助⾦(原⼦炉建屋内の環境改善のための技術の開発(被ばく低減のための環境・線源分布のデジタル化技術の開発))に係る補助事業」として、令和3年6月から令和4年度末まで実施した成果である。
JAEAが開発した技術(線源逆解析システム)
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JAEAのJMTR炉を用いた検証試験結果
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高線源対策(遮蔽、除染等)の線量率低減シミュレーションの例
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